順調に英語教育の小学校に入学し、一年ほどが過ぎた頃、私は地球人に、ピアノを習わせようと思った。それまで、勉強に関しては、やる気を尊重し、強制したことはなかった私だが、体の機能を使って、技術を高めて行く音楽や、スポーツの育成は、成るべく早くから、鍛えた方がよい、との考えを持っていた。
木馬のおもちゃに乗って、遊んでいたモーツアルトが、姉の弾くピアノに、鋭く反応し、すでに5歳ぐらいでは、自分で作曲するまでの才能を発揮。その後、幼くして、ヨーロッパの演奏旅行にでかけた彼が、その鋭い耳で、多言語を聴きわけ、言葉の才能も、大きく開花させたことを知っていた私は、音楽は言語教育に大きく貢献するのでは、、、、と前から思っていた。それがピアノ教育の最初の理由。だから勿論、家でも、色々な音楽をかけていた。
しかし、タダ音楽を聴くだけでなく、ピアノを習わせようと考えたのには、もうひとつ理由があった。中学一年生から親元を離れ、留学をすることが決まっていた彼には、将来いいことばかりじゃなく、時には、苦しい、悲しい思いをすることが、きっとあるに違いない。
そんな時、自分でピアノが弾けたら、大きな心の慰めと気分転換になり、彼を癒してくれるに違いない、と心から思っていたからだ。音楽の持つ癒しの心、それを地球人に、教えたかったのだ。大抵の学校には、自由に弾けるピアノが、一台ぐらいはある筈だ。
幸い、我が家から歩いて5分ぐらいのところに、ピアノの先生が見つかった。さっそくお決まりのバイエルから、地球人のピアノ練習は、始まった。指の練習だけでは子供は飽きるので、簡単な、日本の童謡などの楽譜も持って行き、指の訓練と音符の理解など、基礎的な練習が始まった。まだ地球人の足は、椅子から床に届かず、ブラブラブラブラさせながら、注意力散漫な練習風景だった。
その頃、すでにやんちゃ坊主で、行動力に溢れていた地球人には、椅子に座ったまま30分間、面白おかしくもないピアノを弾くことは、大いに苦痛で、不服だったようだ。しかし、毎週2回の練習後、家でも練習した方がよいと考えた私は、大学で顔なじみになった、スペイン語学系の先生が、自宅のピアノを売りに出すことをしり、早速、見せてもらいにいった。
まだ新しく、日本製の、やや小型ながら、ブラウンの上品な逸品を見た私は、すぐ気に入り、売ってくれるよう、交渉した。早速、搬送の手続きがとられ、数日のうちに、ピアノは専門業者の手で、我が家に運び入れられた。
しかし、ピアノが届いて、喜んでいたのは私一人。地球人は嬉しがるどころか、超迷惑そうな顔をしている。でも、なだめたり、すかしたりしながら、なんとか練習させ、バイエルは終わり、ソナチネを始めて、私にはかなり進歩しているように、見えた。
当時、夫の姉の娘二人は、音楽大学を目指しており、ピアノはかなり上手く、先生の代行も勤められるレベルだった。台湾では有名なピアニストの専門指導を受ける為、週に一度、2時間ぐらい離れたところに住んでいる、そのピアニストの所に、通っていた。
義姉一家は、当時舅姑と同居しており、勿論、娘二人の為に、家にピアノを置いていた。中学から外国に留学させる地球人を、なるべく夫の両親に、度々会わせて上げなくちゃ、と考えていた私は、ほぼ毎週末、地球人を新竹に送った。
超多忙になった私は、時には合流できず、地球人一人で往復することも、増えていった。毎週末の孫の訪問を、舅姑は心待ちにしていたので、私は義姉に頼み込み、週末のピアノ練習は厳しくやってくれるよう、お願いした。
その後、姑から聞いた話では、その頃の地球人は、厳しい訓練に腹を立てると、「誰だ!!こんなピアノなんていうものを発明した奴は、、、、。ぶっ殺してやりたい~~~!!」と癇癪をおこし、物騒な言葉を喚いていたそうだ。
さすがに、私に直接言うと、「ピアノだけは、どうも強制したいと思っているらしいこの母親に言ったら、激怒するかも、、、」と、ちょっとビビッテいたらしい。ともあれ、彼にとっては超迷惑な、ピアノの練習は、10歳までで終わった。
止めた理由は、地球人の留学準備の為、フランス語のレッスンを始めるから、、、。というのが表面上の理由。しかし、それは、彼の口実。地球人は、「あ~~~!!スッキリした~~~!!ようやく、嫌いなピアノの練習から、逃げられるう~~!!」と喜んでいただけ。
現在、公開されている地球人のブログを読んだことがある人なら、こんな記事のご記憶があるかもしれないが、その後、地球人は留学先の中学校で、2年生ぐらいの時に、親友ができ、その彼が、キーボードに夢中。音楽が大好きなのに、音符がうまく読めず、悪戦苦闘をしていたその親友に、音符の読み方を指導していた地球人は、当然、自分も一緒に弾き始め、急に面白くて面白くて、今度は病みつきになり、コロリと前言撤回。
幼少の頃、切れて怒鳴りまくった過去を恥じたのか、後に、ネットの自身のホームページの中で、「今日、自分が音符を読め、音楽を楽しめるのも、幼少時代の親の訓練のお陰、、、これも親に感謝だね、テッちゃん!!」と、堂々と綴っている。「もう遅い!!どうしてくれるんだ!!格安で売り飛ばした、逸品のピアノに、大枚を叩いた親の損害は!!訴えてやる!!」というのが私の蔭の声。
今、地球人にとって、最も心を躍らせ、楽しめる趣味は、多分、音楽だろう。但し、一位はドラム、二位はギター、三位に辛うじてピアノかな?? まあ、そんなとこが、地球人の本音だろう。今住んでいる、東京のマンションにも、狭いのに、一応電子ピアノが置いてあるが、弾いているのを、みたことがない。同様に、カナダの自宅のピアノの蓋も、かなり長いこと開いていない。これも損害賠償ものだよ、地球人!!へへへ、、、、。
2008年11月10日月曜日
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