寮生活を始めた地球人は、学校の授業や外の社会ではフランス語、寮では英語とバランスよく、両方常用するようになっていった。そして、入寮とともに、地球人は生活面でも、すべて自分でコントロールしていかなければならなかった。
前もって地球人の金銭独立訓練はしてあったが、いよいよ実践するときが来たのだ。これまでは、やはり、何かと義妹夫婦の意見も強く、本格的な独立は入寮からと言える。
寮の消灯まえに済ませること、翌日の準備、支払いなどなど。勿論、すでに地球人名義のチェックを渡しておいたので、必要だと思われる文房具、教材、スポーツ用具など、自分で考え、自分で管理するよう言いおいてあった。
そして、その他に、まったく、後で親に報告する必要のない、「小遣い」を別に積み立てて置いた。すべてのカードや口座の通帳は地球人が保管していたので、私は普段見ることがなかった。
この頃、「ねえ、ママ、冬に備えてスキーとスノーボードを買いたいんだけど、いいかなあ!!」と電話で連絡をしてきた。さすがにちょっと値がはるので、私にお伺いを立てたのだろう。あの環境で、欲しがるのは当然だと、勿論すぐに許可した。スポーツ大好き人間の地球人は、アイスホッケー以外にも、スキー、スノーボードにも大いに興味を持ち始めていた。
地元の人は、「アイスホッケーをしている人は、大体スキーもスノーボードも覚えが早く、すぐ上手になるよ!」と言うが、これらのスポーツはバランス感覚がとても大切で、相乗効果があるらしい。地球人もすぐ、両方ともかなりの腕前になっていった。
このころ、私が注意していたことが二つある。それは、疾病はあまり心配しなかったが、怪我に対する保険である。何しろホッケーは、スティックを持って、猛スピードで、ぶつかり合う氷上の格闘技だ。特にゴール前の物凄いぶつかり合いを目にしたことがある人なら、私の気持ちは大いに分かってくれると思う。
カナダの中学生は、スケートを履いて、防具をつけると、もうとても巨漢が多い。猛然とゴールにシュートし、ぶつかって来る巨漢を、ゴールキーパーは、20キロの防具を背負ったまま、相手にするのだ。練習でも試合を想定して、皆、かなり熱くなる。それに、スキーや、スノーボードもやりたいという。
心配は、骨折や怪我。だから、私は、学校の強制保険以外にも毎年日本で保険を掛けていた。幸い、一度も使われることなく、すべて無駄になったが、こんな保険は無駄に成った方がいいに決まっている。
それと、万が一、怪我をして病院に入院する時のことも考えておかなければならない。当然、すぐ飛んでゆくとしても、まず最初にデポジットをかなり病院に払う必要がある。勿論、義妹夫婦がなんとかしてくれるだろうが、できるだけ、迷惑を掛けたくない。
従って、すでに地球人は中学一年から、銀行にはかなりよいお得意さんとなり、自由に預金を使える身分となったが、地球人は決して、無駄遣いはしなかった。次に彼の元を訪れた時、私は一応、銀行預金口座を調べてみた。なんと、「小遣いとして、好きなように使ってもいいよ!!」と渡した預金には、一銭も手をつけていないし、生活費も浪費などした様子は全然ない。
「ねえ!!小遣いは自由に使ってもいいんだよ!!友達との付き合いもあるでしょ??」と訊いた私に、地球人は、「ママも大変だから、お小遣いはいらないよ!!僕、もう、学校の側のイタリアンレストランでアルバイトしているし、店の料理は、何でも食べ放題なんだ。飲み物も、、、、。おばさんもおじさんも親切で、とってもよくしてくれるしさあ!!」と嬉しい事を言ってくれた。
早速、そのレストランのご主人夫婦にお土産を持って、お礼の挨拶にいった。先人曰く、「可愛い子には、旅させよ!!本当にその通りだ!!」と、目頭が熱くなった。
かくして、地球人は、留学2年目にして、早くも放課後、自分でアルバイトにも挑戦し、好きなものは自分で働きながら努力して手に入れ、勉強に、スポーツに、趣味にと、忙しい時間を過ごして行った。



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